認定スクラムマスターの研修と試験|Certified ScrumMaster®:(CSM)
認定スクラムマスターの研修を受講し、オンライン試験に合格しましたので、同じ道を目指す方へご参考となるよう綴ります。
歴史と規模で一番有名なScrum Alliance Inc.という団体の認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster:CSM)を選び、研修はodd-e Japanという会社としました。
※他にもScrum Inc.という団体の認定スクラムマスター(Licensed Scrum Master:LSM)もあるようです。
概要 | Abstract
認定スクラムマスターとは研修と試験がセットになったものです。
ただ、研修中にスクラムトレーナー(講師)が受講者に対して、スクラムマスターとして適していないと判断すると、試験を受けることさえできません。よって、お金を払って資格を取得する研修ではないと言われています。
研修の内容はアジャイル、スクラムを理解するための講義やワークが詰まっています。そのため、スクラムマスターを目指す人だけでなく、開発者や組織のマネージャー層などにもとても有益な内容となっています。
特に、私にとって良かったことは、スクラムの第一人者であるスクラムトレーナーにたくさんの質問をすることができたことです。
スクラムとはなにか?スクラムですることは?などは多くの書籍やWebサイトに溢れています。しかしながら、深いところでのなぜ?(Why)や現場で起きる疑問などに対するジャストの答えはなかなか見つけられません。
多くの質問をぶつけてみることで、理解が正しかったこと、やはり現場の文脈で検討しなければならないこと、スクラムの範囲外であることなどが分かりました。
認定スクラムマスターの資格を取りたいから、などの理由でただ受講することはとてももったいないです。
ご自身のロールや役職に関係なく、現場を改善していくために少しでも多くのものを持ち帰る、という強い意思をもって積極的に参加すると、大きな効果を得ることができるでしょう。
研修を通して前向きに取り組むと、きっと試験を受ける資格を得ることができます。
ところが、試験を受けるための資格に対する明確な基準はないようで、それぞれのスクラムトレーナーが独自に判断されるようです。自信がある人はどのスクラムトレーナーでも良いですが、少し自信がない人は優しそうなスクラムトレーナーを選んだ方がよいかもしれません。
オンライン試験の試験問題は、アジャイルソフトウェア開発宣言、アジャイル宣言の背後にある宣言、スクラムガイド(最新版)を深く理解し、研修に真剣に取り組んでいれば難しいものではありません。
50問中の37問(74%)で合格のようですが、おそらく合格率は100%に近いと思われます。
認定スクラムマスター(CSM)の取得(合格)はスクラムマスターへの道のスタートラインにようやく立てた、という理解です。
たったの数日間の研修でスクラムマスターを実践できるようにはなりません。
スクラムは経験主義とリーン思考に基づいています。優れたスクラムマスターへの道も実践し経験しながら漸進的、反復的なアプローチが必要でしょう。
認定スクラムマスター(CSM)に対する感想
最高の研修でした。安くない研修費用(試験費用が含まれる)と研修時間を投資してくれた会社にとても感謝しております。
そして、これはスクラムマスターを目指す人だけでなく、アジャイルやスクラムに携わる多くの人におすすめできる内容であることから、最高の評価となります。
感想:★★★★★
デメリットは高額な研修費用、研修の拘束時間、更新費用程度かと思います。
スクラムマスター(ScrumMaster)とは
スクラムマスターは、スクラムチームと、より大きな組織に奉仕する真のリーダーである。
スクラムガイド(2020)
認定スクラムマスター研修の対象者
スクラムマスターの実践者、スクラムマスターを目指す人には必須になると考えています。
※現場に真のスクラムマスターがいて、学びを享受できる環境にいる場合に限り、認定スクラムマスター研修は必須ではないかもしれません。
その次に優先となる対象者は組織のマネージャーであるようです。
スクラムマスターはスクラムチームに対してだけではなく、組織に奉仕して組織を変革することも重要な役割となっているため、組織のマネージャーのスクラムやアジャイルに対する理解もまた重要であるためです。
研修、試験の費用
odd-e Japanの場合はオンラインで5日間×半日にて33万(税込)でした。これにはオンライン試験を2回まで受験する費用も含まれています。
他にも研修を受けられる会社は複数あり、株式会社アトラクタでは研修時間は短くなりますが22万(税込)と安くなっています。
個人で受講する場合や費用を抑えたい場合はより安いものが選択肢となりますが、しっかりと会社が費用を出してくれる財力があるのであれば、odd-e Japanの方がおすすめです。
ちなみに研修を受けられる会社は複数ですが、オンライン試験はScrum Alliance.incが提供する共通なものとなります。
試験問題
試験問題は言語を選ぶことができ、日本語でも英語でも好きな方を選ぶことができます。
日本語訳は微妙なこともあるため、英語に自信がある人は英語(English)で受けるとよいかと思います。
試験問題は全て4択の中からもっとも望ましい1つを選ぶというものでした。
60分間で50問を解きますが、37問の正解で合格です。
ある意味、教科書がアジャイルソフトウェア宣言とスクラムガイドとなりますので、何度も読んでおくとよいでしょう。
現実的にはアジャイルやスクラムを一部崩して実践している人も多いかと思いますが、CSMの試験としてはアジャイルやスクラムの原理原則に沿って回答する必要があります。
※この原理原則は研修でしっかりと改めて身につけることができます。
他には現場である事象が発生し、スクラムマスターとして取るべきアクションを選ぶ、などの問題もありました。このような問題は、もしかしたら現場でスクラムを実践していない人にはピンの来ないものも含まれているかもしれません。
また、選択肢が4つある中で、ケースバイケースで複数の正解があるように思わせる問題もありましたが、直感で選び、時間にも限りがありますので悩みすぎずに次に進んでしまえば良いでしょう。
受験のようにライバルがいる相対評価ではなく、ボーダーを越えればいいだけなので満点を目指す必要はありません。試験後に得点も出ますが自分にしか見えず、スクラムトレーナーも見ることができないものです。
よって、自信のない問題は直感で何かを選び、後に引きずることなく、一問一問に集中して取り込むことで合格(パス)することができるでしょう。
万が一、試験に不合格となっても再試験を受けることができますのでご安心ください。※研修費用に2回分の試験費用が含まれており、それ以降は試験費用が別途必要となります。
ちなみに、試験問題は言語(日本語など)を選べますが、試験のWe サイト自体は英語となっています。試験を受けるところまで行くことや、試験にパスした後に認定証をダウンロードすることなどは頑張って英語を理解(翻訳?)しながら進めてください。
SCRUMMASTER THE BOOK
CSMの取得後の真のスクラムマスターへの道は険しいわけですが、その道を示してくれる素晴らしい書籍があります。
スクラムマスター向けの書籍はなかなかありませんが、有名なスクラムトレーナーの方が著者となっている素晴らしい内容となっています。
良いスクラムマスターから良いチーム、真のスクラムマスターから真のチームが育つことを信じて。